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2013年8月25日 (日)

ディアナ・ヴィシニョーワ 華麗なる世界 Bプロ

終わってしまうのが寂しいくらいの充実したガラでした。

2013年8月22日
五反田 ゆうぽうとホール

プロローグ
振付:マルセロ・ゴメス

「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス
音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル マチアス・エイマン

ちょっと見飽きた感はあるのですが、2人とも右回転しながら舞台を左回りで移動していく
技を見せてくれて、オープニングにはふさわしい出来栄えでした。

「レダと白鳥」
振付:ローラン・プティ
音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
上野水香 イーゴリ・コルプ

数年前のコルプさんなら「白鳥」ではなく「怪鳥」になったのではと思いますが、あくまでもゼ
ウスの化身である格調高い白鳥で、腕の動きもとても美しかったです。上野水香はその
「白鳥」に誘惑されるスパルタ王の妻なのですが、なんかもう「白鳥」にぞっこんという感じ
でかなり艶めかしく、あまり神話的な感じはしませんでした。彼女が東京バレエ団に移籍し
た動機のひとつがベジャールを踊りたい、だったと記憶していますが、彼女にはローラン・
プティの作品の方が合っているのでは、と今回も思いました。

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー ホアキン・デ・ルース

2人の正確で優れたテクニックと音楽性を堪能しましたが、やはりヴィクトリア・テリョーシ
キナ、レオニード・サラファーノフが踊った「タランテラ」を越えるものではないと思いまし
た。何が違うんでしょうね

「精霊の踊り」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:クリストフ・ヴィリバルト・グルック
デヴィッド・ホールバーグ

ホールバーグは長身でどちらかといえばがっしりした体型なのであまり「精霊」には見えま
せんでしたが、神殿の階段を模したセットの上でのポーズやムーブメントとムーブメントの
間のポーズがギリシャ彫刻のようでとても美しく、眼福でございました。この人も芸術の神
様に選ばれた一人ですね。

「真夏の夜の夢」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

今回のパ・ド・ドゥは第2幕の結婚式の場面だそうです。クラシックのテクニックを基調とし
た振付で、2人のテクニックを堪能しました。ただわたし的にはインパクトが弱かったか
な。全幕で見れば違うと思うのですが。

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス、イーゴリ・コルプ
後藤晴雄、奈良春夏、東京バレエ団

4年前に「ザハーロワのすべて」でスヴェトラーナ・ザハロワ、アンドレイ・ウヴァーロフ、ア
ルテム・シュピレフスキー、というキャストで一度見ている作品です。ヴィシニョーワ@カル
メンは男を惑わして手玉に取る「悪女」そのもの、という感じで、その表現の仕方はある程
度予想できたのですが、最後ホセに刺されて命を落とす場面の表現は予想外でした。ザ
ハロワ@カルメンは「何故? 何故私は死ななくてはならないの?」と自分の運命を理解で
きないまま命を落とす感じでしたが、ヴィシニョーワ@カルメンは、「そう、これでいいの。こ
れが私の人生だから。」と、ある意味自分で選んだかのような最後で、わが道を行くヴィシ
ニョーワさんらしい表現だと感銘を受けました。ウヴァーロフ@ホセはかなり確信犯的にカ
ルメンを刺すように見えましたが、ゴメス@ホセはそんなつもりはなかったのに思わずヴィ
シニョーワ@カルメンを刺してしまったという感じで、最後までヴィシニョーワ@カルメンに
翻弄され、呆然としている表現がとても優れていました。コルプ@エスカミリオはとても美し
く踊っていたと思うのですが、なんかきれいすぎて、どろどろとした感情が伝わってこなか
ったのが残念でした。最近のコルプさんはどうも薄味なんですが、どうしたのでしょうか。

「眠れる森の美女」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ルドルフ・ヌレエフ/マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
メラニー・ユレル マチアス・エイマン

幕が開いたときのメラニーはとても穏やかで充実した生活を送っているお母さんのようで、
オーロラ姫よりも王妃様に近いかも、と思いましたが、格調高いオーラは素敵でした。私
が知らないうちにママンになったのかしら。ただポーズもムーブメントも決めきれないところ
があったので、そこは残念でした。マチアスはとても端正に美しく踊っていて、ああ、ちゃん
とルグリ先生の教えが生きているのね、とうるうるしてしまいました。ただかなり緊張してい
たようで、以前のような溌剌とした感じがないのが残念でした。まだ舞台の勘が戻らない
のかなあ。久しぶりにヌレエフ版の「眠り」を見たのですが、やはり難しいですね。暴言だと
は思いますが、ヌレエフ版の古典を踊らない、踊れないパリ・オペラ座バレエにあまり存在
価値はないように思うので、芸術監督が変わっても踊りついでいってほしいと思います。

「チーク・トゥ・チーク」
振付:ローラン・プティ
音楽:アーヴィング・バーリン
上野水香 ルイジ・ボニーノ

ちょうど10年前ですが、故ローラン・プティ氏のガラで上野水香がこの作品を踊っている
のを見ています。そのときは彼女のコケティッシュな魅力が発揮されていてとてもよかった
のですが、今回は洒落た雰囲気を演出するために彼女が無理しているのが伝わってきた
上に彼女自身が少しも公演を楽しんでいなくて興ざめでした。あんまり否定的なことは書き
たくありませんが、「表現」という点ではこの10年、彼女はあまり進歩していませんね。は
っきり言ってしまえば中身が成長していないのだと思います。こういう一流ダンサーが集ま
るガラに出演させられるのはむしろ彼女にとって気の毒なことだと思います。ボニーノ氏は
いつものボニーノ氏でした。

「ナウ・アンド・ゼン」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:モーリス・ラヴェル
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

いや~、これはドラマチックでした。久しぶりに偶然会った元恋人の2人。再び恋心に火が
ついて一緒に時を過ごすけど、次第に昔の苦い記憶や葛藤が蘇る。男は「やっぱり君が
必要なんだ。」と手を差し出すけど、2人の関係が終わっていることを確認した女はきっぱ
りと断る、そんなドラマに見えました。ノイマイヤー作品は優れた表現力を持つダンサーに
支えられているんだなあ、と改めて思いました。

「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン
音楽:ボリス・アサフィエフ
アシュレイ・ボーダー ホアキン・デ・ルース

この作品でも2人の正確で優れたテクニックと音楽性が発揮されていたのですが、シムキ
ンやワシーリエフの「パリの炎」ほどのインパクトはないなあ、と思いました。超絶技巧が入
ってればいいというわけではないですが、ほんとに何が違うんでしょうか。この2人は今回
のガラでは「テクニック担当」という感じでしたが、せっかくNYCBのダンサーなのですか
ら、全部バランシン作品でもよかったのでは、と思います。ヴィシニョーワさんを差し置く形
になりますが、「パリの炎」ではなく「ルビー」だったらもっと締まったガラになったように思
います。

「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
ディアナ・ヴィシニョーワ マルセロ・ゴメス
ピアノ演奏:菊池洋子

ヴィシニョーワ@マルグリットは運命に翻弄されているのに「私は主体的に生きているの
よ。」と虚勢を張っている女、ゴメス@アルマンはそんなマルグリットを大きな心で受け入れ
ようとしているけど、思わず嫉妬と怒りに翻弄されてしまう、そんなアルマンに見えました。
全幕だとこのあとに「この間の御代だよ。」と人前でアルマンがマルグリットにお金を渡し、
マルグリットを侮辱するシーンがあるのですが、とにかくゴメス@アルマンは優しい雰囲気
なので、そんなことはできそうもないように見えました。Aプロの「オネーギン」もかなり独特
な解釈で踊っていた2人ですが、ここでもかなり個性的な役作りで、何とか2人の「椿姫 
全幕」を見る機会がないかなあ、と思いました。

フィナーレ
振付:マルセロ・ゴメス
Aプロと同じ振付でしたが、スタイリッシュで素敵でした。

始まる前はこのガラはどうなるのかなあ、と実は若干心配していたのですが、本当に見ご
たえのあるすばらしいガラで、きっとこの先も思い出に残ると思います。
忙しいヴィシニョーワさんのことですから難しいと思いますが、ぜひまた充実のガラを日本
で開いてほしいと思います。

次のバレエ鑑賞はミラノ・スカラ座バレエ「ロミオとジュリエット」になりますが、今のところ全
キャスト制覇などというバカなことをやるつもりです。

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