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2015年8月 3日 (月)

第14回世界バレエフェスティバル Aプロ 8月2日

日本の夏、バレフェスの夏でございます。

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2015年8月2日 東京文化会館


指揮:ワレリー・オブジャニコフ ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー

2人はかなりゆっくりとしたテンポでアダージョを美しく踊っていました。テクニシャンの2人
ならではですね。あくまでも優雅に踊るサレンコと少年のように弾けるマックレー
がうまく調
和したオープニングにふさわしい「チャイ・パ」でした。


「3つのグノシエンヌ」
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:エリック・サティ
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー

この2人のコンテはドラマチックでとても好きなのですが、あれー、どうしちゃったの?と思う
くらい普通で、ちょっとがっかりでした。今まではちょっとした間合いに男女の愛憎というか
機微を感じさせ、観客を舞台に引き込んでいたのですが、なんとも影が薄かったです。アイ
シュヴァルトさまはすでにシュツットガルト・バレエを退団、ラドメーカーくんもオランダ国立
バレエに移籍していますが、そういう物理的距離も影響しているのでしょうか。


「お嬢さんとならず者」
振付:コンスタンティン・ボヤルスキー/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
アシュレイ・ボーダー イーゴリ・ゼレンスキー

これはとってもおもしろかったです。無声映画「お嬢さんとならず者」をバレエ化したものだ
そうです。
バレエというよりもミュージカルの一場面のようでしたが、ノーブルなゼレさまが労
働者風の服を着て、やさぐれている姿はとてもさまになってい
て、ゼレさまにこんな一面が
あるとは、と新発見でした。いかにもおきゃんなアメリカの女の
子という雰囲気のアシュレ
イ・ボーダーは、育ちが良くて気が強い若い女性にぴったりでし
た。Aプロのみ出演の彼女
ですが、この演目だけではもったいないですね。

「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"

振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
タマラ・ロホ アルバン・レンドルフ

決して「オデット/オディール」体型ではないロホさんですが、もう前回同様「回転技」を披露
するためにこの演目を選んだようで、コーダでは3回転フェッテをやっていました。イングリッ
シュ・ナショナル・バレエの芸術監督もしているロホさんですが、ロイヤル・バレエにいた頃
よりも体が締まっていて、日ごろの鍛錬が偲ばれました。

レンドルフはぱっと眼を引くような華はないのですが、安定したテクニックで、誠実な王子を
踊っていました。


「フェアウェル・ワルツ」
振付:パトリック・ド・バナ/音楽:フレデリック・ショパン、ウラジーミル・マルティノフ
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ

いや~、大人の恋、大人の心の機微を感じさせる演目でした。若者の情熱の赴くままの恋
もそれはそれでいいけれど、義理、世間体、社会的地位、家族などなど、ある程度は自分
が望んで手に入れたものにいつの間にか手脚を縛られている大人の切ない情熱の表現
に、わたくし涙いたしました。後半の振り付けはちょっと表現の仕方が安易かしらと思いまし
たが、この2人の年月を経て洗練された美しい佇まいとムーブメントにもう私は涙腺が決壊
しそうでした。こういう大人になりたいっ!!


追悼「マイヤ・プリセツカヤ」

追悼メッセージがスクリーンに映し出され、1976年の世界バレエフェスティバルで彼女が
踊った「瀕死の白鳥」の動画が映し出されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。


「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
アマンディーヌ・アルビッソン マチュー・ガニオ

ここ数年見たマチューの舞台の中では一番良かったです。ここ数年は何回マチューを見て
も伝わってくるものがなかったのですが、音楽に身を委ね、音の間に心の赴くままに舞って
るマチューを見て、そうよ、これがマチューの良さよ、と一人ハタハタと膝を打っていました。
一時期劣化したように見えた脚のラインも美しくなっていて、今後のマチューが楽しみで
す。若手エトワールの中ではアルビッソンを押しているのですが、この「アザー・ダンス」は
まだ自分のものにしきれていないようで、振りをなぞっているだけのように見えたので残念
でした。


「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン

ミリアム=ウルド・ブルームの降板で差し替えになった演目です。おととしの「ヴィシニョー
ワ・ガラ」でも踊っていますが、うーん、やっぱりこの作品はあんまり好みではないですね。
ヌレエフ版「眠れる森の美女」第2幕のデジレ王子のヴァリエーションの方が良かったなあ
と思います。マチアスならきっちり美しく踊れるはずですから。


「ジゼル」
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ

ラムもムンタギロフもとても美しく、正確に踊っていたのですが、ドラマを見せるところまでは
いかなかったかな。おそらく一番たくさん見ている全幕物が「ジゼル」だと思うのですが、見
れば見るほどダンサーにとって難しい作品だなあと思います。


「ライモンダ」より第 3 幕のパ・ド・ドゥ
振付:ユーリー・グリゴローヴィチ(プティパに基づく)/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ

コンディションにもテクニックにも何の問題もなかったと思うし、大好きな2人なんですが、な
あんか無難に踊って終わってしまったという感じでした。特にねー、マリーヤに以前のような
客席をぱーっと引きつけるオーラが無いのが残念です。


失われた純情 「いにしえの祭り」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:リヒャルト・シュトラウス
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ 
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ

これは来年のハンブルク・バレエ日本公演の「販売促進演目」だと思うのですが、全幕物か
ら抜粋しているので、あまりガラ向きではないなと思いました。プログラムを読んでおいても
あまりぴんときませんでした。「椿姫」「シルヴィア」ならともかく、ノイマイヤー作品の切り取
り方は難しいですね。ボリショイ・バレエが「椿姫」を初演した時にスヴェトラーナ・ザハロワ
と踊ったエドウィン・レヴァツォフですが、長髪をスポーツ刈りのように短くしていたので、全
く別人に見えました。


「シンデレラ」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

最近ガラでよく取り上げられるパ・ド・ドゥですが、メリハリがないように思えてあんまり私は
好きではないんですよね。もちろんテクニックと2人のパートナーシップも堪能したのです
が、別の演目でも良かったのではという気がします。


「オールド・マン・アンド・ミー」
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

ダンスとパントマイムのぎりぎりボーダーラインにあるような、おもしろいというか何という
か、人を喰った作品でした。でもこの作品を普通にしか踊れない人が踊ったら限りなくつま
らないものとなったと思うので、やはりこの2人のテクニックと表現力に敬意を表したいと思
います。例のサイトに一部分だけですが動画があるので、探してみてください。


「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン/音楽:ボリス・アサフィエフ
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

これもガラの定番、超絶技巧向けなんですが。シムキンくんは期待に応えて?2連続540
とか大技を存分に披露してくれました。シムキンくんを見るのは昨年のABT日本公演「マノ
ン」以来なんですが、表現力も上げてきているので、超絶技巧だけではないシムキンくんも
またぜひ見たいです。前回のバレフェスで踊った「雨」でも良かったと思うのですが。NBS
でまた「インテンシオ」を企画してくれないかしら。

2演目めの働き者サレンコさんは、派手さはないけれど、回転軸のしっかりしたフェッテな
ど、きっちりとしたテクニックを見せてくれました。


「白鳥の湖」第 2 幕より
振付:レフ・イワーノフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ

もう何と言ったらいいか。ロパさま、すでに神の領域に近づいています。同じ人間とは思え
ない。「人間の肉体とその動きが生み出す究極の美」、その美の先にある世界。神様に選
ばれたロパさまには何が見えているのでしょうか。

ロパさまがここまで表現できるのは長年パートナーを組んでいるコルスンツェフさんの力も
大きいと思うので、来て下さって本当にありがとうです。


「トゥギャザー・アローン」
振付:バンジャマン・ミルピエ/音楽:フィリップ・グラス
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー

エルヴェが無事に来てくれるかどうか最後まで心配していたのですが、ちゃんと来てくれま
した。2人の絡みつく情と情というか、濃密な世界を堪能しました。エルヴェの作品への没
入度はすごいですね。あれはオレリーでないと受け止めきれません。2人の間に走る電気
に「感電」して帰ってきました。動画を過去記事にリンクしてありますので、また見たい、とい
う方、まだ見ていないという方はアクセスしてみてください。


「オネーギン」より第 1 幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル

フォーゲルくんの「鏡のパ・ド・ドゥ」を見るのはこれで3回目です。昨年「オネーギン」全幕デ
ビューを果たし、今年11月の日本公演でも「オネーギン」を踊る予定のフォーゲルくんです
が、場数を踏んだ分、「オネーギン」に慣れてしまった余裕を感じてしまい、ちょっと残念でし
た。もうちょっとタチアーナを高揚させるギラギラした感じがほしかったのですが。アマトリア
ンもあまりタチアーナの高揚感を表現できていなくて、これなら去年の「エトワール・ガラ」で
アマンディーヌ・アルビッソンと踊った「鏡のパ・ド・ドゥ」の方がよかったのではと思います。


「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヴィエングセイ・ヴァルデス オシール・グネーオ

ヴァルデスは2006年の世界バレエフェスティバルでも「ドンキ」を踊り、そのバランス技と
アクロバティックなフィッシュダイブで客席をとんでもなく沸かせた人です。

あれから9年たって、さすがにあの頃の勢いや切れはありませんでしたが、アティテュード
でバランスを取り、その脚をパッセに持ってきたり、その逆をやったり、フェッテでグイグイ回
るというテクニックは健在でした。

グネーオもピルエットやジャンプでテクニック全開、客席は大いに盛り上がりました。多少大
人になったあずきくりーむは超絶技巧のてんこ盛りにいささか飽きているのですが、3年に
1度のお祭りですからね、Bプロ、ガラで「ドンキ」を踊る皆様もいかんなくテクニックを発揮
して盛り上げてほしいと思います。


経済的、時間的な理由でAプロ、Bプロも1回ずつの鑑賞にしたのですが、やっぱり1回じゃ
もったいない。とんでもない暑さが続いていますが、暑さに負けず、バレフェスで完全燃焼し
たいと思います。

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