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2015年8月18日 (火)

第14回世界バレエフェスティバル ガラ 8月16日

すべての出演者、関係者の皆様に感謝です。

2015年8月16日 東京文化会館

指揮:ワレリー・オブジャニコフ ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル

「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス/音楽:レオ・ドリーブ
リュドミラ・コノヴァロワ マチアス・エイマン

この演目もすっかりガラの定番になりましたね。コノヴァロワはけっこう生真面目に踊ってい
たので、男女のおしゃれな掛け合い、という雰囲気はありませんでしたが、急遽代役に立
ち、クラシックバレエの美しさを見せてくれたことに感謝です。マチアスはコーダで右回転し
ながら舞台を左回りにマネージュする通称「ジョゼ回り」をして大奮闘。オープニングにふさ
わしい華やかさでした。

「三人姉妹」
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ

今まで私が持っていた「踊りが重くて着地音が大きいし、やる気なさそう。」というムンタギロ
フのイメージが今回のバレフェスで完全に変わりました。マーシャに寄せる思いと情熱を全
身であらわすムンタギロフを見て、彼の踊りの美しさと表現力の高さに目を見張りました。
ロイヤル・バレエに引き抜かれたのも当然ですね。ラムの美しい踊りと秘めた思いの表現も
とても良かったのですが、Aプロの「ジゼル」同様、2人の相互作用までは起きなかったの
は残念でした。おそらくこの2人は来年の日本公演で主演するのだと思いますが、感動の
舞台を期待しています。

「雨」
振付:アナベル・ロペス・オチョア/音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

前回のバレフェスでもこの2人が踊っています。眩い光の中に2人のシルエットが浮かび上
がるとても幻想的な作品で、跳んで回ってだけではないこの2人の幅広い表現力が生かせ
るいい作品だと改めて思いました。ただグレン・グールドの「鼻歌」はやっぱり怖いので、他
の演奏でもいいかも。

「椿姫」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー /音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト アレクサンドル・リアブコ

ラドメーカーくんには申し訳ありませんが、彼が降板しなければ実現しなかった夢のペアの
「椿姫」でした。普段踊っていない相手と踊るには本当に難しいパ・ド・ドゥですが、全くよど
みのない流れるようなパ・ド・ドゥ、アルマンをからかいながらも心の動揺を抑えられないア
イシュヴァルト@マルグリット、不器用だけど必死に思いを伝えるリアブコ@アルマン、もう
もう至福の時でございました。ほんとに日本のバレエファンは幸せ者ですね。



「ヌアージュ」

振付:イリ・キリアン /音楽:クロード・ドビュッシー
ディアナ・ヴィシニョワ マルセロ・ゴメス

この2人が踊るのですから、もっと艶めかしいものになるのではと思っていたのですが、切
れ間から光がさっと差すような静謐でどこか神々しい「雲(ヌアージュ)」でした。やっぱりヴ
ィシニョーワさんのベストパートナーはゴメスさんですね。

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ/音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン
ヴィエングセイ・ヴァルデス ダニーラ・コルスンツェフ

日本で踊るときは「ほとんどいつも王子」のコルスンツェフさんですが、きゃあ~、かっこい
い。ヴァルデスはまさに男を狂わすファム・ファタールという感じでしたが、普段は踊ってい
ないペアなので、男女の愛憎が生まれるまでにはいかなかったかな。ただAプロもBプロも
ロパさまのサポートで終わっていたコルスンツェフさんの見せ場ができてよかったです。

「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ /音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ

ゲラン先生というとローラン・イレール先生と踊った超エロい「ル・パルク」が鮮烈に頭にこび
りついているので、今回はどういう舞台を見せてくれるのかと、もう幕が上がる前から心臓
が飛び出るくらいドキドキしていたのですが、いい意味でアクが抜けたというか、予想外の
儚い佇まいにこれまたノックアウトされました。ただ踊り自体はかなりルグリ先生に頼ってい
るという感じだったので、もう半年くらい基礎的なレッスンをしてから踊ればルグリ先生との
ガチンコ勝負になったのではないかと、つくづく残念です。

しかしルグリ先生はほんとに変わりませんね。衣装をつけたルグリ先生の姿は数年前に
「ル・パルク」を踊ったときと同じでした。今回はゲラン先生の引き立て役に回った感のある
ルグリ先生ですが、もう1回ガチンコ勝負のパ・ド・ドゥ見る機会があればなあ、と思いま
す。

「さすらう若者の歌」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:グスタフ・マーラー
オスカー・シャコン フリーデマン・フォーゲル

「さすらう若者の歌」というとルグリ先生とローラン・イレール先生とのガチンコ勝負がとても
印象に残っていて、長い!なんて思わなかったのですが、今回は退屈してしまったというの
が正直なところです。おそらく2人の作品に対する解釈、踊り方の違いに原因があると思う
のですが、まあはっきり言うとフォーゲルくんの責任でしょうね。改めてフォーゲルくんのポ
ーズ、ムーブメントの美しさを堪能したのですが、2人で別々の踊りを踊っているように見え
てしまい、シャコンにとっては気の毒な舞台になったと思います。バレエって難しい。



「ウロボロス」

振付:大石裕香 /音楽:ヤン・ティルセン、ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ、アレックス・バラナウスキー
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ

ハンブルク・バレエでソリストとして活躍してきた大石祐香さんの振付で、これは2人の表現
力を余すことなく見せてくれるメチャクチャすてきな作品でした。

ウロボロスとは、自分の尾を噛んで環になったヘビ、竜を図案化したものだそうです。ヴェ
ネチアのカーニバル風のマスクを付け、まるで機械仕掛けの人形のように踊っていた2人
の仮面が落ち、そこで初めてお互いに向き合う、相手を見ることで自分を見つめる、そんな
ことがテーマとなっている作品のように思えました。ぜひこれはもう1回みたいです。

「白鳥の湖」より黒鳥のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ /音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ

やっぱりこの2人は華があります。強いアイメークをして自信たっぷりに踊るマリーヤはか
つてのオーラを取り戻していました。フェッテはほとんどシングルだったと思いますが、

途中で何回か腕を真上に上げて回り、テクニックでブイブイ押していた頃のマリーヤが復活
していました。

ラントラートフはちょっとお疲れだったのか、ヴァリエーションでは、「あれ?トゥール・ザンレ
ール1回抜かしてない?」と思うところがありましたが、それでも高いジャンプと美しいピル
エットでボリショイ・バレエの華を見せてくれました。

「ハムレット」
振付:ジョン・ノイマイヤー /音楽:マイケル・ティペット
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ

このパ・ド・ドゥはリアブコ夫妻が何回か日本で踊っているので、同じ演目を踊るなんて大胆
ね、と思ったのですが、予想外に良かったです。ラウレールはまだ恋に恋するような少女、
レヴァツォフはちょっと抜けてて目の前のことで精一杯だけど、それでもオフェーリアを愛し
ている、そんな感じのハムレットで、全幕で見てみたいなと思わせる出来映えでした。

「シェエラザード」
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
上野水香 イーゴリ・ゼレンスキー

これも予想外によかったです。出だしの上野水香はちょっとくねくねしていて、うわー、この
ままだったら嫌だなあ、と思ったのですが、美しさを優先した踊りで、ファンの方には申し訳
ありませんが、前回のバレフェスで同じくゼレンスキーと踊ったポリーナ・セミオノワのどこ
か安っぽいゾベイダよりも数倍格調高いゾベイダでした。ゼレさまも前回同様美しい踊り
で、見応えがありました。でもやっぱりロパさま&コルスンツェフさんに踊ってほしかったな
あ。

「ヴォヤージュ」
振付:レナート・ツァネラ /音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ウラジーミル・マラーホフ

いや~、久しぶりに「マラーホフワールド」を堪能しました。あの美しさは誰にも真似できま
せんね。今後は徐々に舞台から遠ざかっていくのかと思うと寂しくなりますが、ぜひ優れた
ダンサーを今後も育ててほしいと思います。そうそう、シムキンくんに「コート」を伝授するな
んていかがでしょう?



「ジゼル」

振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー /音楽:アドルフ・アダン
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

残念ながら2人のミラクルが起きるまでにはいきませんでしたが、2人の間に流れる静かな
愛を堪能しました。またこの2人の全幕を見たいのですが、うーん、ちょっともうコボーさん
にはきついかな。

「タンゴ」
振付:ニコライ・アンドロソフ /音楽:アストル・ピアソラ
ウリヤーナ・ロパートキナ  

もうロパさま、ちょーーーーーーーーーーーーーーーーーカッコよかったです。黒のジャケッ
トとロングパンツ、光沢のある襟の開いたシャツと帽子、という衣装でピアソラの曲に乗って
シャープにタンゴの世界を踊るロパさま。宝塚にはまる人の気持ちがよくわかりました。ロ
パさまの無限の表現力、その大海原でわたくし溺れたいです。

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン/エルヴェ・モロー

さすがに昨年の日本公演の時のように神様は降りてきませんでしたが、それでも美貌とテ
クニックと表現力を備えたこの2人がシンクロするパ・ド・ドゥは素晴らしいの一言で、こっち
がトランスするかと思いました。メートル・ド・バレエになるオレリーは全く舞台に立たないわ
けではないと思いますが、彼女のアデューがもう2年遅ければ、この2人は数々の名演を
見せてくれたのではないかとつくづく残念です。エルヴェは彼自身のプロジェクトを来年日
本で公演してくれますが、新境地が見られるのではないかと今からとても楽しみです。良席
ゲットを目指します。

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー

片手リフトや両手を離したフィッシュダイブといった大技はなかったのですが、緻密で美しい
「ドンキ」でした。マックレーさんのほとんどア・テールに近いくらいギリギリまで脚を降ろした
状態で回るピルエットや、ピルエット・ア・ラスゴンドをしながら軸足でジャンプするとか、テク
ニシャンぶりは健在。サレンコさんも安定したグラン・フェッテで魅了してくれました。

結構ひどい感想も書きましたが、本当に今回も楽しませてもらいました。毎回のことです
が、やっぱり終わってしまうと寂しいです。2週間以上も蒸し暑い東京に滞在して舞台に立
ってくれたダンサーの皆様、スタッフの皆様、本当にありがとうございました。

次は2018年、それからなんと2020年の東京オリンピックに合わせて「世界バレエフェス
ティバル 番外編」も開催されるそうです。

それまで私もがんばります!!

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