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2015年8月11日 (火)

第14回世界バレエフェスティバル Bプロ 8月9日

行ってまいりました、Bプロ。

2015年8月9日 東京文化会館

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス  
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ/音楽:チェーザレ・プーニ
ヴィエングセイ・ヴァルデス オシール・グネーオ

Aプロ「ドンキ」の超絶技巧で観客を沸かせた2人ですが、優れたテクニックはもちろんのこ
と、とても美しく格調高い「ディアナとアクテオン」でした。今更なんでまたヴァルデス?と思
ったのですが、呼ばれたわけがわかりました。ヴァルデスは「ガラ」でなんとダニーラ・コル
スンツェフさんと組んで「カルメン組曲」を踊る予定ですが、どんなカルメンを見せてくれるの
か楽しみです。


「シンデレラ」

振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ ウラジーミル・マラーホフ

この2人の「シンデレラ」は何回か見たことがありますが、自然な情感あふれる今回が一番
良かったように思います。3年前のバレフェスではマラーホフ先生の体型変化に驚かされま
したが、ほぼ以前の体型に戻ったように思います。


「シナトラ組曲」より"ワン・フォー・マイ・ベイビー"

振付:トワイラ・サープ/音楽:フランク・シナトラ
イーゴリ・ゼレンスキー

エレイン・クドーとミハイル・バリシニコフが初演した作品だそうです。スーツにネクタイという
衣装を着て、背中で大人の男の哀愁を語るゼレ様はとても素敵でした。あの美しいジャン
プにも毎回はっとさせられます。「フランク・シナトラ」というと私にとっては「良きアメリカ」の
イメージなのですが、それをロシア人のバリシニコフやゼレ様が踊るのは何だか不思議で
すね。同じくロシア系ですが、あと10年後くらいにシムキンくんにも踊ってもらいたいです。



「ペール・ギュント」

振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:アルフレット・シュニトケ
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ

プログラムにも解説がなかったので、どういう場面なのかわからなかったのですが、哀愁漂
う男女の踊りでした。この2人が優れたテクニックと表現力の持ち主であることはよくわかる
のですが、ちょっと地味だったかな。やっぱりノイマイヤー作品の切り取り方は難しいです
ね。


「悲しみのエチュード」より 4つのダンス

振付マルセロ・ゴメス/音楽:フレデリック・ショパン
マルセロ・ゴメス

ゴメスさんはなんと前日8日にロンドンを発って東京にやって来て、舞台に立ってくれたよう
です。ショパンのエチュード4曲が使われていますが、あのエチュードにどういう振付を乗せ
るんだろうと思ったら、クラシックのテクニックを使いながら緩急を付け、時にコミカルな動き
や、はっとするほど美しいジャンプやピルエットも取り入れ、内面描写ものぞかせる振付
に、ゴメスさんの才能を感じました。ヴィシニョーワさんとの「ヴァーティゴ」も見たかったとは
思いますが、貴重なものを見せていただき、感謝感謝です。


「ライモンダ」より 幻想のアダージオ

振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ

うるわしのロパさまとコルスンツェフさんなんですが、ロパさま美しいわー、コルスンツェフさ
んのマント姿すてき、なんていう感想にもならない記憶しか残りませんでした。「ライモンダ」
はロパさまが希望した演目なのだと思いますが、2009年のマリインスキー・バレエ日本公
演「オールスター・ガラ」でロパさまとコルスンツェフさんが踊った「エロ美しいシェエラザー
ド」が忘れられない私としては、せっかくコルスンツェフさんがいるんだから「シェエラザード」
を踊ってほしかったなあ、と改めて思います。



「眠れる森の美女」

振付:ルドルフ・ヌレエフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ マチアス・エイマン

いや~、マチアス、確実にマニュエル・ルグリ先生の「美しさと正確さ」を引き継いでいます
ね。去年の日本公演「ドン・キホーテ」の時はまだまだ表情が硬かったのですが、本来の伸
びやかさが戻ってきたように思います。ミリアムの降板でヌレエフ版「ロミジュリ バルコニ
ー」がなくなってしまったのが本当に残念です。

コノヴァロワもきっちりとしたテクニックで美しく踊りきっていました。ただ多少の緊張がある
のか、ちょっと華やかさに欠けたのが残念でした。


「ノー・マンズ・ランド」

振付:リアム・スカーレット/音楽:フランツ・リスト
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル

去年の「コジョカル・ガラ」で感銘を受けた作品です。戦場に向かう恋人を思う声にならない
コジョカルさんの叫び、すべてを悟り、すべてを受け入れ、そして去って行くコボーさんの静
謐さ。見ていて涙がにじみました。愚かな戦争、争いによってどれほど多くの人が悲しみ、
傷つくのか、どんな言葉よりも雄弁に語っていました。


「海賊」

振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ

派手さはないのですが、とてもきっちりとした美しい「海賊」でした。「海賊」というとどうしても
テクニック見せつけ演目のようになってしまいますが、こういう風に美しさを大事にして踊る
のが本来の姿なんだろうなと思いました。


「ギリシャの踊り」

振付:モーリス・ベジャール/音楽:ミキス・テオドラキス
オスカー・シャコン

あふれるばかりのエネルギーとバネのある体から生み出される抑制的な踊りがたまらなく
魅力的でした。故モーリス・ベジャールの晩年にBBLに入団したシャコンですが、ベジャー
ルが存命だったら、創作意欲をかき立てる存在になったのではないかと思います。ぜひBB
Lに留まらない活動をしていってほしいと思います。



「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー

パリで実現しなかったこの2人の「マノン」なんですが、ちょっと残念だったかな。オレリーが
手を出したところにエルヴェの手が来ないとか、私が気づいた限り2回だけでしたが、2人
がかみ合わないところがあり、そのせいか2人とも踊ることに気をとられていたように思いま
す。後半はつかの間の恋の喜びに浸る2人の自然な情感が出ていたと思うのですが、うー
ん、残念、残念。「ガラ」では「椿姫 第3幕のパ・ド・ドゥ」を踊る予定の2人ですが、去年の
日本公演に負けない「神レベル」のパ・ド・ドゥになることを期待しています。


「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ

振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー

サレンコ&マックレーは来シーズン、ロイヤル・バレエで「ロミオとジュリエット」を踊ることに
なっているようですね。マックレーさんは完全に振付を自分の言葉、感情にしていますが、
サレンコさんはまだまだのようで、何だか「ぼやけたジュリエット」でちょっと残念でした。ぜ
ひこれから練り上げていってほしいと思います。それにしてもマックレーさんのロミオは本当
にすばらしい。現役のダンサーの中から優れた「ロミオ」を3人挙げろ、と言われたら確実に
1人はマックレーさんですね。確か来年のロイヤル・バレエ日本公演の演目の1つはこの
「ロミオとジュリエット」ですが、今から楽しみです。


「伝説」

振付:ジョン・クランコ/音楽:ヘンリク・ヴィエニャフスキ
アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル

2013年の「マラーホフの贈り物 ファイナル」でアイシュヴァルト&ラドメーカーが踊ること
になっていたのですが、本拠地の都合で2人の来日が遅れ、幻の演目となっていました。
哀愁を帯びたバイオリンをバックに高度な振付を乗せたプロットレスな作品なんですが、そ
れを何なくこなす2人に脱帽です。


「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
タマラ・ロホ アルバン・レンドルフ

テクニック、情感の表現、音楽の捉え方も全く問題はなかったのですが、すみません、この
2人にこの演目は合わないと思います。2人が熱演していただけに、だんだん罰ゲームの
ように思えてきて最後はつらくなってきてしまいました。病気療養中のササチュー氏が今回
のプログラム構成にどこまで関わっているのかわかりませんが、お元気だったら別の演目
に変えるようにアドバイスしたのではないかと思いました。



「レ・ブルジョワ」

振付:ベン・ファン・コーウェンベルク /音楽:ジャック・ブレル
ダニール・シムキン

久しぶりに見ましたが、いや~、シムキンくんも大人になりましたね。そこはかとなく漂う大
人の男の色気にドキッとしました。超絶技巧で注目を浴びたシムキンくんですが、確実に表
現力も上げてきているので、「インテンシオ」はもちろんのこと、彼が主役の全幕ものも是非
また見たいです。


「オールド・マン・アンド・ミー」

振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

おもしろい作品だとは思うのですが、やっぱり1回見れば十分ですね。ヴィシニョーワ&ゴメ
スの「ヴァーティゴ」が取りやめになったので仕方がありませんが、他の演目はなかったの
かしらん?と思います。特にヴィシニョーワさん、ほとんど踊っていないので、影が薄いで
す。


「瀕死の白鳥」

振付:ミハイル・フォーキン/音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウリヤーナ・ロパートキナ
チェロ:遠藤真理 ハープ:田中資子
 
もう何と言っていいのか。ここまで美しく、胸を打つ「瀕死の白鳥」は初めてでした。いつもの
ように羽ばたこうとしても力が抜けてしまう、いつものように飛ぼうとしても飛べない。自らの
終わりを悟り、美しく消えていった白鳥。考えたくもありませんが、バレエダンサーとしての
キャリアは終盤に入っているロパさま、どこか白鳥の心情と重なるところがあるのでしょう
か。3年前とはまた違った、さらに「瀕死の白鳥」を突き詰めた表現にロパさまの「求道者」と
しての一面を見る思いがいたしました。

今回はチェロとハープが舞台の上手に位置して、直接ロパさまを見ながら演奏していたの
ですが、ロパさまの踊りと三位一体となり、とてもすばらしい時間でした。


「シルヴィア」

振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:レオ・ドリーブ
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ

この2人は2010年の「エトワール・ガラ」で第1幕のシルヴィアとアミンタのパ・ド・ドゥを踊っ
ていますが、今回は念願の第2幕のパ・ド・ドゥでした。月日が流れてから再会したシルヴィ
アとアミンタのパ・ド・ドゥなんですが、まるで全幕を踊ってきたかのような集中力でドラマを
見せてくれました。ただこの2人、仲のいいご夫婦なので、久しぶりに再会した、という感じ
があまり出ていなかったのと、全幕ではパ・ド・ドゥが終わった後、シルヴィアは夫?とともに
トランクを持って舞台袖に去って行くのですが、そこの部分がカットされていたのが残念でし
た。あの余韻がいいんだけどなあ。

この「シルヴィア」、オレリー・デュポン&マニュエル・ルグリ主演でDVD化されています。ま
だ10代のマチアス・エイマンもコール・ドとして第2幕に出演しています。


「椿姫」より 第1幕のパ・ド・ドゥ

振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル

いや~、いつものことながらアイシュヴァルトさまの全幕並みの集中力はすごい。もう一気
に「椿姫」の世界に連れて行かれました。「マルグリット」に成り切りながらも、リフトの時にラ
ドメーカーくんの顔にかかったスカートをさりげなくよけているのを見て、これまたいつものこ
とながら衝撃を受けました。踊っているときのアイシュヴァルトさまの頭の中はどうなってい
るのでしょうか。全幕並みの集中力といえばラドメーカーくんもすごいのですが、今回はちょ
っとアイシュヴァルトさまに追いついていなかったかな。

Aプロの2人に欲求不満が残ったのですが、だいぶ払拭されました。
と、ここまで昨日書いたら、なんとラドメーカーくん、膝の状態が悪化して降板!! Aプロ、
Bプロ2日間は無理して踊っていたのでしょうか。1日も早い回復をお祈りしています。



「こうもり」よりパ・ド・ドゥ

振付:ローラン・プティ/音楽:ヨハン・シュトラウス2世
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ 矢島まい[東京バレエ団]

失礼ながら50歳を越えてバレエダンサーとして舞台に立つことについてはいろいろな意見
があると思うのですが、「洗練」とはこのお二人のことを言うのではないかと思います。ポー
ズ、ムーブメント、醸し出す雰囲気、表現の1つ1つが美しく、時間と鍛錬によって磨き上げ
られた「洗練」がそこにありました。特にルグリ先生のピルエットの美しさ。決してバレエは
若さでも超絶技巧でも体力でもありません。「人間の肉体とその動きが作り出す最高、究極
の美」、これがバレエであると確信しました。


「ドン・キホーテ」

振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ

いやもうこの2人ノリノリでした。テクニック面ではAプロのヴァルデス&グネーオ組の方が
難しいことをやっていましたが、ポーズ、ムーブメントの美しさ、持って生まれた華はこの2
人の方が上でした。昨年のボリショイ・バレエ日本公演の「ドンキ」ではグラン・フェッテをし
なかったマリーヤですが、全部シングルながらすべて回りきっていました。ただ軸足への負
担を避けるためなのか、反対の脚は水平には上げないまま回っていて、逆にどうやって推
進力をつけているんだろうと思いました。本当かどうかわかりませんが、現在この2人は特
別に親しい関係にあるようですね。アダージョでは踊りながらキス。カーテンコールでは、マ
リーヤがラントラートフのおでこにキスすると、ラントラートフが「口にキスしてほしいのにぃ
~」というように客席にアピールして、次のカーテンコールではマリーヤがラントラートフの

お口にチュ!全幕では見られないであろう2人の弾けっぷりを楽しませてもらいました。こ
の勢いで「ファニー・ガラ」にも出てくれないかな。

いや~、4時間半のバレエ公演、本当に充実していました。 一部暴言もございますが、と
にかくこれだけのダンサーの皆様が東京に集まってくれることに、真剣勝負をしてくれること
に感謝です。あとは「ガラ」だけになりましたが、気合いを入れて見に行きます。

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