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2015年11月25日 (水)

アンナ・オサチェンコ&ジェイソン・レイリー主演 シュツットガルト・バレエ 「オネーギン」

福永武彦の名著「愛の試み」を思い出しました。

2015年11月23日 東京文化会館

主な配役
オネーギン:ジェイソン・レイリー
タチヤーナ:アンナ・オサチェンコ
レンスキー:ダニエル・カマルゴ
オリガ:エリサ・バデネス

指揮:ジェームズ・ダグル
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦団

レイリーというと3年前の「じゃじゃ馬ならし」で見た堂々とした体躯、ワイルドセクシーなペト
ルーチオが印象に残っているのですが、別人かと思うほどスマートでした。冷徹、傲慢とい
うよりも十年一日のごとく同じことを繰り返して疑問を持たない、そんな自分を取り巻く特権
階級の凡庸さに飽き飽きして軽蔑している、けれども自分に自信があるわけではない、そ
んなオネーギンでした。
レイリー@オネーギンの一幕のバリエーションはちょっと不安定に見えましたが、それが逆
にオネーギンの荒んだ心や定まらない心をあらわしているようで秀逸でした。
二幕はあまり印象に残らなかったのですが、三幕のオネーギンは、レンスキーとの決闘の
あと故国を逃れて外国でそれなりに成功し、地位も財産も築いているけれど、どこか心は
満たされない。久しぶりに故国に帰ってきてタチヤーナに会い、本当に自分を愛してくれた
のはタチヤーナであり、本当に自分が愛していたのもタチヤーナであることに気づく様は、
福永武彦著「愛の試み」の中の挿話「砂浜にて」を思い出させました。

オサチェンコも善戦していたと思いますが、大人美人顔なので、内気なタチヤーナの繊細
さはあまり感じられず、ゲネプロしか見ていませんが、全身でタチヤーナになり切っていた
アマトリアンには及ばなかったかなと思いました。

2人とも踊りのレベルの高さは言うまでもないのですが、リフトのタイミングをはかっている
ところが何回も見え、意味不明な間が空くことがもあったので、これもゲネプロでしか見て
いませんが、アマトリアン&フォーゲルの流れるように美しく、振付を越えた「手紙」を見た
あとではちょっと分が悪いかなと思いました。

カマルゴはまだまだ踊りの詰めが甘いと思いましたが、レンスキーの直情をよく表現してい
ましたし、いずれはオネーギンを踊る素質は十分あると思いました。

バデネスのオリガはゲネプロでも見ましたが、快活で深く考えずにオネーギンの悪ふざけ
に乗ってしまうタチヤーナとは対照的な人物像をよく演じていたと思いますし、テクニックも
優れているので、 西宮でどんなドラマをフォーゲルくんと作ってくれるのか今から楽しみで
す。

いずれ何かの折に優れた全幕物の条件を書いてみたいと思うのですが、優れた全幕物は
優れたダンサーの数だけドラマを生む、と改めて思いました。
まだ書き足りないことがあるような気がしますが、取りあえずご報告。

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